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第三次世界大戦の発端

日本の状況

中国内戦とそれに伴う東アジア情勢の混迷は、とにかく安全保障を確保したい日本と、自らが育んだ憎しみの応酬からの決別を望む米国との間に溝を生んでいた。

法の間隙を突いて発足された実戦的な日米共同部隊である海外自衛隊は、二度にわたる日本海紛争で疲弊し、また様々な政治的しがらみによる運用の困難さから、その命脈は断たれつつあった。

孤立無援のまま隣国からの侵略や押し寄せる難民といった諸問題に対峙せざるを得なくなった日本は、過酷な税制や社会保障制度の縮小などと言ったなりふり構わない緊縮策で国力を維持しようと試みる。しかしそういった努力も内外からの難癖や権益に群がる政治屋によって殆どが無に帰し、かつて経済と技術によって世界に覇を唱えた東アジア随一の先進国の命運も、今ここに至って潰えようとしていた。

揺籃

第三次世界大戦勃発の直接的な原因は中国内戦が周辺諸国に飛び火したことであったのだが、そういった状況へ至るまでの道のりは非常に複雑かつ謎めいており、戦争責任の所在の解明も含めた開戦までの経緯の分析は専門家の間でも百家争鳴の体を成している。

とりあえず大勢の見方としては、21世紀初頭のイラク戦争によって中東の力関係が再編され、米軍の撤退と同時にイラクとシリアの間隙に存在する空白地帯にテロ組織が流入したことがそもそも事の始まりとされている。イスラム世界において新たに始まった恒久的な紛争は、一時的に沈静化しつつあった原油高を再燃させ、それは直接的に欧米社会へ大きなダメージを与える事となった。一方で広大な土地と豊富な資源を有する東側の大国は相対的に影響力を増し、その不安定な内情を清算せぬまま世界の新たなる盟主としての座を手にしてしまったのである。

開戦

後先を顧みず同胞で富と権力を奪い合う中国は、急激な変革と成長に耐えきれずあえなく瓦解した。党、軍閥、企業、宗教など、ありとあらゆる勢力が潰し合い、糾合し、分裂する内乱の時代へ突入したのだ。秩序を失った国土で多くの人々が貧困にあえぐ一方、海外へ資産と身柄を移した富裕層は現地の権力に取り入り、あるいは逆に支配下に置き、未だ膨大な資源が眠る祖国のイニシアチブを握るべく安全な場所からなお争いを継続した。

海外勢力による代理戦争の場と化した中国内陸は荒廃の一途をたどり、そこから逃げ出した無数の難民が周辺国へなだれ込むこととなる。特に財政破綻ぎりぎりの低空飛行を続け国際社会に置ける発言力を大きく損ねていた日本は、現人口の10パーセント以上という膨大な数の難民を押し付けられる羽目になり、その結果として統治能力をほとんど喪失してしまう。経済の破綻や治安の崩壊により、日本はもはや国家ではなく巨大な難民収容所と化し、あえなく国際テロルの温床となってしまったのであった。日本失陥によって太平洋侵出へのくびきを解き放たれた中露は、難民支援を名目として日本に上陸し、それに抗うアメリカとついに交戦状態に突入する。

これが第三次世界大戦の発端である。

KRVの台頭

この混迷の時代においてKRVはその兵器としての有用性を広く知らしめ、戦時中においては多くの機種が配備される事となる。

KRVはいわば移動中継装置とも言うべき存在であり、正面装備と後方装備の双方の特性を兼ね備えた兵器である。直接的な戦闘は可能な限り避けるのが望ましいとされており、オートマトンが損失した場合には速やかに後退するのが鉄則であった。そのため、戦争終盤には残存するKRVの機数に比してオートマトンが欠乏する状態に各国は陥っており、KRV同士が直に砲火を交える事も珍しい事ではなくなっていた。

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